YUKINA
STORY
夕暮れの街を抜け、俺は疲れた体を引きずるようにして自宅のドアを開けた。
今日も忙しい一日だった。
仕事の重圧に押しつぶされそうになる中、唯一の救いはこの小さな部屋だ。
しかし、いつもの静寂が今日は違った。
リビングの奥から小さな笑い声が聞こえてくる。
靴を脱ぎ、音を立てずに覗いてみると、そこには彼女がいた。
明るい色のビキニを身にまとい、クッションに腰掛けて楽しそうにこちらを見つめる姿。
「あっ、おかえり――」
声の主は優希奈、幼馴染の妹だ。
小さい頃から俺と兄の遊びについてきて、いつも無邪気に笑っていたあの優希奈が、今は大人の女性の表情を見せている。
その目には、ほんの少しの挑発が宿っていた。
「何してるんだ、そんな格好で。」
俺が眉をひそめると、優希奈はイタズラっぽく笑う。
「驚かせようと思って。どう? 効果あった?」
俺はため息をつきながらも、視線を彼女から外せないでいた。
その柔らかそうな肌、きゅっと引き締まったウエスト…
俺の中で何かが熱を帯びるのを感じる。
「バカなことするなよ。」
そう言いながらも、俺の声はいつもより低く、少しだけ掠れていた。
優希奈の表情がわずかに変わる。
彼女の顔に浮かぶ余裕の笑みが薄れ、少し戸惑ったような目つきになる。
「ちょっと、顔怖いって…。冗談だってば。」
その言葉に火をつけられたように、俺の中で何かが弾けた。
気づけば俺は彼女を押し倒していた。
リビングのソファが彼女の華奢な体を受け止める。
「優希奈、お前…。」
近くで見る彼女の瞳は揺れている。
でも、完全な拒絶ではない。むしろ、彼女の顔にはどこか期待と不安が混じったような色があった。
「冗談でもそういうことはダメだって言っただろ。」
俺の声に、優希奈は少しだけ目を伏せる。
それが、俺をさらに引き込む。
いつもの小生意気な態度がどこへやら、彼女はしおらしく身を任せている。
指先が彼女の水着の紐に触れると、優希奈の体がわずかに震える。
俺はその震えを感じながら、そっと彼女の肌に触れた。柔らかく、温かい感触が指先から全身に伝わる。
「ねえ、本当にそんなつもりじゃなかったの…。」
弱々しい声でそう言う彼女。
しかし、その言葉とは裏腹に、彼女の体は逃げるどころか俺の方へと寄り添ってくる。
俺はそんな優希奈の様子に、胸の奥が熱くなった。
「そんな顔して、そんな恰好で男を誘惑しておいて、どうなるか教えてやるよ。」
俺の言葉に、優希奈は目を閉じた。その表情はどこか幸せそうで――。
そして、俺の理性は完全に飛び去った。
仕事の疲れも、明日の憂鬱も、すべてどうでもよくなる。
今この瞬間、俺の頭の中には彼女しかいなかった。